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かがやく☆あいちの表彰・認定企業

愛知環境賞受賞企業

瀬戸製土株式会社

人とのつながりの中で、環境にやさしい“土”をつくっています。

瀬戸製土株式会社

陶器原料の製造・販売やセラミック雑貨の開発を手掛ける。「人にやさしく、地球にやさしく」をモットーに、地場産業の伝統や先人の知恵を受け継ぎ、新しい技術開発と製品づくりを行う。自然由来の素材からできたバイオマス粘土「アイコーン」で愛知環境賞を受賞。

瀬戸製土株式会社
会長 谷口良治郎
レポーター

愛知淑徳大学文学部教育学科 稗田将志さん
愛知淑徳大学文学部教育学科 濱中啓太さん
レポーターの学校名、学年等は取材時点(平成28年4月)のものです。

「愛知環境賞」とは?

2005年の愛知万博開催に合わせて創設。省資源や省エネルギー、リサイクルなどに関する優れた技術や活動などを表彰し、資源循環型社会を推進することを目的としています。

Q.愛知環境賞を受賞した経緯を教えてください。


「愛知万博で実際に使われた製品。環境に優しいバイオマス粘土を使用している」
愛知万博の頃、万博協会から「地元で環境に優しい器ができないか」と地元の陶磁器組合に問い合わせがあり、そこに手を挙げたのがはじまりです。開発したのは、植物原料プラスチックであるポリ乳酸と、ホタテの貝殻の粉末を粘土に混ぜ込んだ「アイコーン」というバイオマス粘土。つくった器は経済産業省の食堂で実用試験を行い、万博でも実際に使われました。万博終了後に全国で行われた成果報告会の中で、愛知県庁の方が私たちの素材を高く評価してくださり、応募を勧めていただき受賞に至りました。アイコーンの器は、2008年の洞爺湖サミットや、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議の関連イベントでも使われました。
Student's view
瀬戸製土さんは行政と連携しながら、自社の環境技術・持ち味を存分に生かして、地域への貢献をしていました。そのような社会貢献のかたちもあるのだと初めて知りました。

Q.ほかにはどんな製品づくりに取り組んでいますか?

160℃に温めた家庭用オーブンで手軽に陶芸が楽しめる「オーブン粘土」や、特許技術である通常よりも低温で焼ける「低温焼成磁器粘土」などがあります。通常、陶磁器を焼くには約1300℃もの高温の窯が必要ですが、低温焼成磁器粘土なら約1100℃の低温かつ最大約20時間も焼成時間が短縮でき、エネルギーコストを36%以上削減しました。低温でありながら一般的な陶磁器より丈夫。しかも、下絵の色を鮮やかに残すことができるため、子供にも喜んでもらえるカラフルな絵付けができます。イギリスやフランス、南アフリカやインド、ニュージーランドなど世界中からあらゆる粘土原料を厳選するなど、試行錯誤してこの技術を編み出しました。
Student's view
創業時は土を扱うのみの製土業だったそうですが、現在では様々な素材だけでなく、セラミック系の雑貨などもつくられているそうです。時代のニーズに合わせ、柔軟な考え方を持っている会社だと思いました。

Q.いろいろな企業と協力して開発することが多いのですか?


「谷口氏から粘土や製法の説明を受ける。良い粘土へのこだわりが伝わってくる」
一人だけで考えていると、どこかに“抜け”が出てきてしまいます。誰かと考えることで、その“抜け”を見つけられます。例えば、より良い粘土原料はないか取引先の方に探してもらったり、焼き上がった陶磁器の強度などをデータ化するために工業系大学の先生や学生と組んだりして、開発の枠を広げながら理論的な裏づけもしっかりととっていく。新しい技術は、そういう協力の中から生まれるのではないでしょうか。学生と一緒に取り組むときは、理論は分かっているけれど実際の製品開発の現場経験がないため、こちらからアドバイスすることもありますよ。
Student's view
意外な企業や学校とのつながりが、新しい製品を開発する上での強力なパートナーになるのだと知りました。そのパートナーを引き寄せる、谷口さんの人柄や人望を目の当たりにして、自分もいつかこんな人間になれたらと思いました。

Q.これから目指す企業像を教えてください。


「様々な製品を追求していく」/「驚くほど軽いが手触りは通常の食器と同じ」
いつも考えているのは「今、何をするべきか。環境や社会に役立つものは何だろうか」ということです。軽い器になる粘土なら、年配の方でも持ちやすいし、食堂でたくさんの食器を運ぶ人にもやさしいでしょう。低温で焼ける磁器なら環境保護に貢献できて、抗菌効果のある素材開発に協力できれば、人々に衛生的な暮らしが提供できます。また、近いうちに新しい社員も入れたいですね。以前製品の絵付けを手伝ってくれた芸術大学の学生が、今も定期的に手伝いにきてくれているんです。今度、豆皿を商品化するプロジェクトがあり、それが軌道に乗ったらデザイナーとして採用したいと思っています。
Student's view
常に地域のため、社会のため、お客様のため。その経営方針に感銘を受けました。こういった方が、経営者として成功するのだなと感じるとともに、自分も利益だけではなく社会貢献の面でも影響力を持つ社会人になりたいと思いました。

編集後記

訪問前のイメージでは、直接お客様と関わることは少ないのではと思っていましたが、瀬戸製土さんは様々な分野の人たちと、密接な関係を築いていました。地域の組織や学校と連携しながら、地域に求められているものをつくりあげる。そういった人のつながりを生かした細かなアプローチができるのは、中小企業ならではの良さであるような気がします。その積み重ねが、会社の価値を高めていると思いました。