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あいちの職業訓練最前線 ―中小企業の成長力を上げる人材育成事例紹介―

会社概要
Company Data
若手採用強化
~中途メインから新卒メインへ。人材方針を大転換~

1969年設立。自動車関連の試作部品を中心に手掛け、2012年からは加工が難しいとされてきたマグネシウム合金の板材をプレス加工する技術開発を行っている。リーマンショック以降、「試作レス」と言われる時代の暗さを打破し、新規プロジェクトや人材供給に積極的に取り組む。

ユーアイ精機株式会社

愛知県尾張旭市庄中町2丁目13番地12
TEL:0561-53-7159
FAX:0561-53-7153
http://www.yuai-seiki.co.jp/


代表取締役社長 水野 一路氏

あいちの
職業訓練
最前線

vol.03

“ゆとり世代”なんて言葉、気にしない!
「考える人」を増やす組織マネジメントへ。

できる人より、考える人を雇用したい。

― 創業時から試作メーカーとして歩んできたユーアイ精機が今、大きな転換点を迎えようとしています。技術面ではマグネシウムプレス加工への進出。そして、人材面では新卒採用の強化へ。時代の要請に応えながら、水野社長が誠に実現したいこととは何なのか、お話を伺いました。

「水野氏が目指す思いは現場からもしっかりと伝わってきた」


谷口
工場見学をさせていただきましたが、2階のガラス張りの見学スペースからすみずみまで見渡せるようになっているんですね。まるで展望台にいるようです。


私は、モノづくりをする上で大切なのは、スキルよりモチベーションだと思っています。父の代から事業を受け継いで10年ほど経ちますが、最初は中途採用がほとんどでした。試作の市場は低迷しつつあるのに、その分野のプロばかりが多い。それは、将来的に困る。だから新しい風を入れようと工業高校にも声をかけ新卒の採用を始めました。それと、簡単に技術を身につけることができる器用な人も採用しないようにしています。なぜなら、頭を使わなくなるから。なかなか上手くいかないことを、どうしたらいいのか考えることが少なくなっている今だからこそ、考え抜く力のある人を求めています。

「求めているのは考え抜く力を持っている人材だと水野氏は語る」


谷口
先ほどの工場見学の時も、入社2年目の可児拓也さんに案内していただきました。説明するためには技術や設備の中身を理解していないといけませんから、これも大切な教育の一環なんですね。

水野
そうです。自分で考えて行動してみると、達成感も大きいです。その繰り返しで仕事を楽しみながら長く働いてくれる人を雇用したいと思っています。また、新卒の社員は年齢の近い社員と組んでメンター制にして、教育をサポートしています。

「工場案内をしてくださった可児拓也さん。分かりやすく機械の説明をしてくれる」

「試作レス」に打ち勝つのは発想力!


谷口
メンターは「兄貴」のような存在で、何でも相談しやすいですね。自分で考える放任的な環境を提供しながら、困った時は頼れる人が近くにいる。若い世代のニーズにも合わせた人材育成のかたちだと思います。

水野
若い世代の特性や興味関心には、社長である私自身がしっかりと目を向けていきたいと思います。

谷口
新卒の方とベテラン社員の方を見ていて、最近気になったことはありますか。

水野
ベテラン社員の技術力は素晴らしいですが、電子機器のオペレーション作業が苦手ですね。反対に、若い世代は技術力はなくてもITに強い。ここで、お互いに依存し合っている職場は、一見得意なことを任せているように見えますが、あまり良くないと思います。これからの時代に必要なのは、経験知でもオペレーションスキルでもない。考え抜く力、発想力だと思います。

社長の役目は「チャンスを与える」こと

谷口
なるほど。どんな世代であっても発想力が成長のカギとなるわけですね。「考える」機会を提供するために、実践されていることはありますか。

水野
工場を出て、様々なニーズのあるところに出かける機会を増やしています。例えば、デパートのクリスマス装飾ために、自社の技術を使ってオーナメントをつくり、展示しました。自分の技が社会で生きていることが実感できるとやる気が湧いてきますよね。また、工場はこれまで男性社会だったため、女性にもモノづくりの面白さを伝えようと、県内の短期大学で出張講義を行いました。男性社員たちはかなり喜んでいました(笑)。

谷口
技術者たちが興味を持っていることと仕事との接点づくりが社長の仕事なんですね。

水野
はい。チャンスをつくってあげることが大切です。毎年、ベトナムから研修生を受け入れているのですが、彼らに技術を教えるのも若手の仕事にしています。「教えるチャンス」づくりですね。いかにしてモノづくりに対するモチベーションを上げるか。私は直接的な育成というより、そんな考えを持って、これからも彼らと向き合っていきたいと思います。

谷口センセイの対談後レビュー
Review
組織イノベーション
潔い「未経験者歓迎」宣言!
若手の採用強化で新しい風を吹き込み、 “考えるモノづくり”に転換
難加工技術をいかに継承していくかを課題としながら、仕事ありきではなく、人材ありきの経営スタイルで「ユーアイ育ち」を増やしていく社長。その権限移譲する度胸とヒューマニズムはすばらしいものです。
また、若手たちが先輩後輩関係をもつことで、後輩は安心でき、先輩は教えるスキルを高め、自身の技術を深めることにもつながります。この好循環が会社の雰囲気を良くし、「考える」企業のベースとなるのだと思いました。