あいちの職業訓練最前線 ―中小企業の成長力を上げる人材育成事例紹介―
会社概要
Company Data
安心の見える化
~社員能力の「可視化」で社外に安心の「可視化」を~
~社員能力の「可視化」で社外に安心の「可視化」を~
真空熱処理を柱とする金属熱処理メーカーとして、1973年に設立。真空熱処理加工、熱処理教育、熱処理炉販売修理、他社連携の4事業を展開している。代表の原氏は日本金属熱処理工業会代表としても、熱処理業界全体での技術伝承に力を注いでいる。
株式会社メタルヒート
愛知県安城市東栄町5丁目3番地6
TEL:0566-98-2501
FAX:0566-98-2504
http://www.metalheat.co.jp/
代表取締役 原 敏城氏
あいちの
職業訓練
最前線
vol.02
高度な“熱処理力”を社外へ発信!
自社の強みを伝え、潜在顧客の発掘につなぐ。
全社員が熱処理技能士資格を取得する理由
―金属を硬くしたり、しなやかにしたりと目的に応じた性能を引き出す熱処理技術。「熱処理なくして産業なし」と言われるほど、製品のクオリティを決めるのに欠かせない分野です。しかし、そんな繊細な分野だからこそ人材育成にも独自の工夫が必要なようです。
谷口
工場見学をさせていただきましたが、2階のガラス張りの見学スペースからすみずみまで見渡せるようになっているんですね。まるで展望台にいるようです。
「見学スペースから工場を見渡す。工場の美化が徹底されている事が伝わってくる」
原
工場を衛生的に保ち、「世界一綺麗な熱処理工場」を目指しています。特に、熱処理の分野はクリーニング店と比較されます。お客様からお預かりした大切な製品を美しく仕上げて返すのが使命。イチから製品をつくりだすのではなく、目に見えない工程だからこそ、信頼が必要だと思い、工場内の美化を徹底しているんです。
谷口
なるほど、工程の透明性を高めて顧客から信頼を得ていますね。人材育成の面では信頼を得るための工夫をされていますか?
原
社員全員が金属熱処理技能士を取得しています。電話対応を行う事務職の女性も取得していますから、お客様からお問い合わせがあった際にワンストップで御対応ができます。
谷口
工場見学をさせていただきましたが、2階のガラス張りの見学スペースからすみずみまで見渡せるようになっているんですね。まるで展望台にいるようです。
「見学スペースから工場を見渡す。工場の美化が徹底されている事が伝わってくる」
原
工場を衛生的に保ち、「世界一綺麗な熱処理工場」を目指しています。特に、熱処理の分野はクリーニング店と比較されます。お客様からお預かりした大切な製品を美しく仕上げて返すのが使命。イチから製品をつくりだすのではなく、目に見えない工程だからこそ、信頼が必要だと思い、工場内の美化を徹底しているんです。
谷口
なるほど、工程の透明性を高めて顧客から信頼を得ていますね。人材育成の面では信頼を得るための工夫をされていますか?
原
社員全員が金属熱処理技能士を取得しています。電話対応を行う事務職の女性も取得していますから、お客様からお問い合わせがあった際にワンストップで御対応ができます。
「応接室には社員の取得した資格の証書などが飾られている」
人事部との連携で「教育」をビジネスに
谷口
資格取得を徹底しているんですね。熱処理の“技の見せどころ”はどんな部分にあるのでしょう。
原
資格取得が「目的」ではなく、あくまでお客様に安心していただく「手段」です。私たちは、熱処理の技術力=管理力だと考えています。炉の中の圧力・温度・時間を徹底管理する力です。また、炉のクセを知ってそれらの調整を行うのが製造スタッフの大切な仕事です。
谷口
そうすると、人材育成の場面でもそうした管理力を重視して評価項目を決めているのですか。
原
はい。最近、人事部と一緒に教育研修の体系図をつくりました。月別で学習計画表をつくって達成レベルを評価しています。お客様にお見せしたら、うちも真似したいといってコピーしてお持ち帰りになられたこともあるんですよ!
谷口
いつまでに、どんな目標を達成すればいいかが明確になると、作業も効率的になりますね。熟練のスタッフの方々とも連携して教育体制を整えているのでしょうか?
原
人事部には教育学部出身の社員がおり、彼らが先導して熟練の意識改革をしてくれました。今は、「背中を見て覚える」時代ではないと。熟練のスタッフから集めた資料や口頭での説明を元にして教材をつくりこみました。また、その一方で、お客様から「熱処理の知識を習得したい」という声が上がり、業界・業種問わず、初心者でも分かりやすい金属熱処理の専門学校「金属熱処理スクール」を始めました。
資格取得を徹底しているんですね。熱処理の“技の見せどころ”はどんな部分にあるのでしょう。
原
資格取得が「目的」ではなく、あくまでお客様に安心していただく「手段」です。私たちは、熱処理の技術力=管理力だと考えています。炉の中の圧力・温度・時間を徹底管理する力です。また、炉のクセを知ってそれらの調整を行うのが製造スタッフの大切な仕事です。
谷口
そうすると、人材育成の場面でもそうした管理力を重視して評価項目を決めているのですか。
原
はい。最近、人事部と一緒に教育研修の体系図をつくりました。月別で学習計画表をつくって達成レベルを評価しています。お客様にお見せしたら、うちも真似したいといってコピーしてお持ち帰りになられたこともあるんですよ!
谷口
いつまでに、どんな目標を達成すればいいかが明確になると、作業も効率的になりますね。熟練のスタッフの方々とも連携して教育体制を整えているのでしょうか?
原
人事部には教育学部出身の社員がおり、彼らが先導して熟練の意識改革をしてくれました。今は、「背中を見て覚える」時代ではないと。熟練のスタッフから集めた資料や口頭での説明を元にして教材をつくりこみました。また、その一方で、お客様から「熱処理の知識を習得したい」という声が上がり、業界・業種問わず、初心者でも分かりやすい金属熱処理の専門学校「金属熱処理スクール」を始めました。
「熟練スタッフの協力を得て今までにない人材育成を形にした」
教育や連携で、顧客の安心と業界活性化へ
谷口
熱処理現場のプロが、社外に向けて教育を行っている。信頼の獲得に向けて教育の機会を活用しているというわけですね。
原
そうなんです。工場には実践トレーニング用の炉も導入しました。自動車関係だけでなく、全ての金属製品に熱処理は必要です。少しでも多くの企業の方にその重要性や魅力をお伝えし、顧客等の満足度向上及び業界活性化をめざしています。
谷口
社員教育がゆくゆくは取り引き拡大・業界活性化に。すべてのアクションと線でうまくつながっていますね。
原
私自身は、日本金属熱処理工業会の会長として業界全体を盛り上げていきたいという想いも持っています。真空熱処理を専門とする当社以外に、高周波や浸炭などの技術を持った4社で「金属熱処理ソリューション」というプロジェクトチームも立ち上げました。メタルヒートが窓口となって、お客様の御要望を聞き、それに合わせた熱処理業者を紹介したり、熱処理を組み合わせて御提案したりしています。熱処理専門業者は中部地区に集中していますから、まだまだやれることはたくさんあると思っています。
熱処理現場のプロが、社外に向けて教育を行っている。信頼の獲得に向けて教育の機会を活用しているというわけですね。
原
そうなんです。工場には実践トレーニング用の炉も導入しました。自動車関係だけでなく、全ての金属製品に熱処理は必要です。少しでも多くの企業の方にその重要性や魅力をお伝えし、顧客等の満足度向上及び業界活性化をめざしています。
谷口
社員教育がゆくゆくは取り引き拡大・業界活性化に。すべてのアクションと線でうまくつながっていますね。
原
私自身は、日本金属熱処理工業会の会長として業界全体を盛り上げていきたいという想いも持っています。真空熱処理を専門とする当社以外に、高周波や浸炭などの技術を持った4社で「金属熱処理ソリューション」というプロジェクトチームも立ち上げました。メタルヒートが窓口となって、お客様の御要望を聞き、それに合わせた熱処理業者を紹介したり、熱処理を組み合わせて御提案したりしています。熱処理専門業者は中部地区に集中していますから、まだまだやれることはたくさんあると思っています。
谷口センセイの対談後レビュー
Review
マーケティング・イノベーション
目に見えない加工の伝承と、美しく体系化された人材育成。
「見える化」が安心につながり、マーケット拡大へ。
熱処理の管理を可視化することで顧客に安心を伝えられます。その一方で、熟練のスタッフの技能を客観化し、伝承していくという意味でも可視化は必要なプロセスです。メタルヒートの組織ではこれらの「可視化」がキーワードとなっていると感じました。情報共有がスムーズになり、人材育成がしやすい、意思決定も早くなる。結果的に経営が効率化され、自社のブランド力が上がるという好循環が生まれるのです。
「見える化」が安心につながり、マーケット拡大へ。