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あいちの職業訓練最前線 ―中小企業の成長力を上げる人材育成事例紹介―

会社概要
Company Data
現場改善力向上
~生産工程・組織の合理化で安定した雇用を保障~

1953年設立。小型軽量で精密さを要する自動車関連部品の切削加工を得意とする。現在代表を務める加藤氏は三代目。「全社員集合研修」や“気づき”の訓練を目的としたサクセスデー(1日大掃除など)、人材育成プログラムの開発に意欲的に取り組む。

エイベックス株式会社

愛知県名古屋市瑞穂区内浜町26番3号
TEL:052-811-1171
FAX:052-811-1175
http://www.avex-inc.co.jp/


代表取締役社長 加藤 丈典氏

あいちの
職業訓練
最前線

vol.05

人材育成は、採用の時点で始まっている!
長く勤められる環境づくりを最優先に考える。

モノづくりが好きなら、性別・文理・国籍を問わない


―正社員の平均年齢は31歳。三代続く老舗の切削研削加工メーカー・エイベックスでは「社員教育は出会ったときから始まる」を人材育成方針とし、トップ自ら会社説明会や面接に立ち会い、新卒の人材獲得を行っています。

谷口
社屋のデザインがモダンで、「工場」という感じがしませんね。打ち合わせ室にも若手社員の顔写真や目標が掲示されていて活気を感じます。

加藤
社屋は父の代に建て替えていますが、“町工場”から“中小企業”への進化を目指し、人が行き来しやすい環境づくりを目的にデザインを決めたと聞いています。また、こうした会社の経営目的や人材育成に対する考え方は採用の段階で徹底して伝えることにしています。

谷口
人事担当に任せきりにしない。それだけ、人材が会社の成長に大きく関わると社長御自身が考えているんですね。

加藤
はい。せっかく採用してもミスマッチで離職してしまうことを防止するため、何度も面接を重ねています。逆に、モノづくりが好きで会社の方針に共感してもらえるのであれば、性別・文系理系そして国籍も問いません。また、親御さんも内定式に招き、お子様の未来を一緒に想像していただける場を設けているんです。

「社員教育は出会ったときから始まる」と加藤氏は言う。


谷口
時代に合わせたアットホームな採用スタイルですね。先ほど工場を見学させていただきましたが、1971年式の工作機械を、定年を迎えた社員の方が楽しそうに修理していたり、新卒の女性社員の方が1人で大型機械を操作している様子を見てとても驚きました。社長が考える「何でも自前でできる人材の育成」が強く感じられた現場でした。

「温かな雰囲気の工場内。加藤氏の思いが感じられる」


年功序列・終身雇用をポジティブに捉える


加藤
私は、全社員にモノづくりを楽しんでほしいと考えています。楽しむことから、やる気やアイデアが生まれてきます。工場で作業していた女性社員の杉浦さんは2015年に大卒で入社した正社員です。担当しているラインの流れが遅くなっている部分に着目し、自力で電気信号を送る装置を開発し、作業の効率化に成功しました。

谷口
女性だから、国籍が違うから、という考え方自体をやめないといけませんね。結婚や出産があってもずっと働ける仕組みについてはどうお考えですか。

加藤
私たちはずっと地場で経営を続けてきました。地域とともに発展してきたからこそ、地域の雇用に対しての責任も負っていると考えています。ですから、こちらの都合で契約を打ち切るようなことは絶対してはならない。働き続けやすい企業になるために「愛知県ファミリーフレンドリー企業」(※)の認定を取得するなどして仕事と生活のバランスがとれた働き方を推進しています。また、年功序列・終身雇用の方針についても、採用時から社員に伝えています。

「杉浦さん、自ら率先して作業の効率化を図る。」


谷口
私は競争力のある中小企業の条件に ①正社員 ②年功序列 ③長期雇用 を挙げています。エイベックスさんの場合は、改善力や現場の活気との相乗効果で競争力をつけ、それが安定的な成長につながっているのでしょうね。

※愛知県ファミリーフレンドリー企業 http://famifure.pref.aichi.jp/


様々な社内制度や研修プログラムで
「先が見えない」という不安をなくす


加藤
今の若い世代は安定的な雇用環境を求めていますよね。そのニーズに向き合った体制をつくるため、自分のキャリアプランが見えるように、課題を抽出して達成できるような社内制度や研修の機会を多く設けています。

谷口
年に3回行われるサクセスデーと呼ばれる1日大掃除では、自分が担当する設備は自分で管理する意識を持つことや、ふだんの作業では気付かないことへ目を向ける機会にしているそうですね。

加藤
そうです。責任だけあって権限がないのは良くないこと。社員が自由な発想で行動できる体制づくりを大切にしています。社員が自主的に役職に就ける「役職任期1年候補制」では、任期が1年だけということで、もし上手くいかないことがあってもバックアップする体制が整っており、安心感があります。さらに、社員が講師となり、他部署の社員へ自分の仕事や技術を紹介する「共育デー」を設けるなどしています。

谷口
トップダウンとボトムアップが見事に両立していますね。

加藤
まずこちらが明確な方針を示し、社員が独自のアイデアと技術で成果を上げる。そのサイクルが確立されることで、今すべきことと、将来に向けて見据えるべきことがハッキリし、「先が見えない」といって離職する人をなくしたい。一度できた“御縁”を大切にしたいと考えています。
谷口センセイの対談後レビュー
Review
プロセス・イノベーション
現場教育を体系化し、先の見える人材育成をすることで、
社員に長期的な安心を約束する。
採用の段階で「モノづくりをしたい」という意思を最重視し、入社してからも社員同士を競わせる仕組みではなく、長く勤めてもらうための仕組みづくりを大切にするエイベックスは、人材育成を経営の柱に掲げた企業と言えるでしょう。日本的経営の「あたたかさ」を残しながら、先の見える人材育成のために、様々なプロセスを経て社員一人一人が改善意識と目標を明確にして歩んでいける組織だと感じました。