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明日から、ちょっとやってみたくなる 「ひと育見直し塾」
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第五回

仕事もプライベートも、もっと「雑談」しよう!

一昔前、「大切なことはたばこ部屋で決まる」みたいに言われる時代がありました。さすがに今の時代、このようなことを言う人はあまりいないかもしれません。一方で、今、私は禁煙しましたが、同僚と何気ない雑談をするあの時間が「意外と大切だったな」と思うことがあります。
仕事をしていると、あからさまに雑談をすることはあまりできません。うるさくすると、集中して仕事をしている同僚に迷惑が掛かりますし、上司がそばにいたりすると、「口を動かす前に手を動かせ」などと言われます。
それでも、「ちょっと一服行こう」と同僚に声をかけてたばこを吸いに行く。それが、気分転換にもなったし、同僚の趣味の話や、最近お気に入りのレストラン、パートナーと出かけた旅行先のことなど、何気ない雑談が同僚の素顔を知るきっかけでもありました。
その後、とあることがきっかけでたばこをやめましたが、禁煙すると「雑談するきっかけがない」ことが意外と困りました。そこで、当時管理職だった私は、15人ほどいたメンバーと毎月1回、30分ほど、定期的に雑談をする時間を設けることにしました。業務のことはもちろんのこと、仕事やプライベートのちょっとした悩みまで、いろんな話をしました。メンバーが抱えている仕事の課題や悩みを事前にキャッチアップできたとともに、今まで知らなかったメンバーの側面を知ることができ、とてもよかったなと思っています。
近年ビジネスシーンでは「1on1ミーティング」が流行っています。1on1ミーティングとは、週1回から月1回ぐらいの頻度で30分程度、リーダーとメンバーが定期的に「1対1で話す」というものです。メンバーは仕事の課題や悩みをリーダーに話し、リーダーはそれに対してアドバイスやフィードバックなど、メンバーの成長の支援を行います。
業務時間内に行うため、一般的な1on1ミーティングでは「成長の支援」という意味付けですが、私の意見では、同僚との人間関係を構築するためには、仕事に関わる話をするだけではなく、プライベートのことも含めて、ざっくばらんな話をする場でよいのではないかと思っています。
また、2020年春からはじまった新型コロナウイルス感染症の拡がりで在宅勤務やテレワークをする人が増えた今、コミュニケーションが分断され、何気ない雑談をする機会が減りました。
業務に関わる情報は、メールやチャットツール、グループウェアなどでやりとりできます。しかし、今まで身近にいた同僚との何気ない雑談は、意外とできません。そのため、在宅勤務者の中には「さみしい」と言いう人も少なくありません。しかも、この先どうなるのか、先行きも不安です。仕事に関する課題や悩みはもちろんのこと、不安をはじめとした感情面を共有することも、心身の健康や、良好な人間関係を保つためには大切なのではないかと思います。
もしあなたが、「最近、職場のコミュニケーションが悪いな」と感じていたら、1on1ミーティングのような、定期的に雑談をする時間を設けてみてください。仕事のことでも、プライベートのことでも、ざっくばらんに話すことがポイントです。
そして、ポジティブなこと、ネガティブなことも含めて、お互いをもっと知ることができれば、コロナ禍の先行き不透明な環境の中でも、協力して仕事ができるようになるでしょう。
NPO法人しごとのみらい 理事長 竹内 義晴 氏

【筆者プロフィール】

NPO法人しごとのみらい 理事長竹内 義晴 氏
1971年生まれ。元はプログラマー。ギスギスした人間関係でストレスを抱える中、管理職を任されコミュニケーション力の必要性を痛感。その経験から、コミュニケーション心理学やコーチングを学ぶ。現在は「楽しくはたらく人を増やす」を活動テーマに、コミュニケーションの問題によって生じる職場の課題を解決し、楽しく働くことができるようコミュニケーションの講演・研修、講座、コーチング、カウンセリングに従事している。