vol.1
モノづくりってヒトコトで言うけど、実際に仕事を始めたらどんな毎日なのか、
先輩社員のある1日を追ってみました。
今回の取材協力 飯島電子工業株式会社
- 事業内容
- 酸素濃度計、溶存酸素計、MLSS計、pH計の開発、製造、販売および修理サービス
- 会社の強み
- 業界初の酸素センサー1年間保証や「安心パック(5年間修理費無料サービス等) 」など、お客様のご要望を1つ1つ丁寧に形にします。
ここに注目! 「お仕事の魅力」
- 日々、実験センサーと対峙し、「趣味はデータ取り」とまでに魅せられたエンジニア
- その正確さが会社の財産ゆえ、妥協は決して許されない
- 数値と会話し、究極のセンサー開発を目指す、木下さんが抱くお仕事の喜びとは?
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お楽しみはさいごに
私の毎朝は、日課である実験センサの試験データ確認から始まる。
昨晩仕掛けたセンサ試験が正しく行われたか?
ガス流量・配管圧力などに問題はなかったか?
細かいチェックをしてからデータ解析に臨む。
試験条件が一つでも崩れるとデータの重みがなくなるため欠かせない確認である。
取得されたデータは、記録計の画面におおよその変動波形や数値が表示され、思惑と違う傾向かは、経験を積んだ人なら画面を見れば一目瞭然。
が、そこはあえて画面を見ず、ぐっと我慢!データを抜き出して解析に臨む、このこだわりは、実験結果がどうか?の楽しみを、後にとっておくタイプだからである。 -
分からないから面白い!
取得データを解析ソフトで変換し、エクセルを使い解析する。数値だけでなく、途中の挙動を把握するため、毎回グラフ化し傾向を探る。
数値データだけでなく、連続したデータの波形にはこだわっており、条件によるセンサ特性の違いが、この確認で観えてくる。
波形の解析なくして、酸素センサを開発はできないといっても過言ではない。
思いもよらない動きの発生や解明できないこともあり、研究は道半ば。
分からないことだらけでも、それがまた面白い。 -
気になるアノこと…
試験データで得られた情報を元に、次の実験方針を決める。ここが一番悩む。
思いついた事は全て試したいながらも、限られたコスト・限られた時間・限られた試験数量の範囲で悩み抜く。
実は最近、髪の毛も気になっている…。
一度決めたら、ひたすら作れば良いのだが、作りながらも、ふと迷いがでる事も。
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欲しいなら、自分で作れ!
新たな実験で使うセンサを作るために図面を作成し部品を注文。
が、これが待ってられない!直ぐにでも頭の中の構想を形にし、どんなデータが得られるか確かめたい衝動に駆られる。
そんな時は直ちに工作室に飛び込み、自ら旋盤等の工作機械を操作し、部品を切削加工して作ってしまう。
加工時間は要するが、図面での部品発注よりは速い。
ただ沢山は作れないため、ここぞというときの必殺技である。 -
頼れる機器には愛着が自然とわく
実験センサの中には、超微細加工のセンサがあり、わずか数十μm(マイクロメートル)※の条件変化で、性能変化が起こることも。
そのため、製作したセンサ形状を正確に把握する必要があり、それを可能とする形状測定器での計測が欠かせない。
最新設備であり、お気に入りの装置である。
※1μm=1/1000mm -
「趣味=仕事」。でもほどほどに
実験センサ試験は、1回やれば終わりではない。
同じデータの再現が取れるのか?
温度やガス、時間的な変化により、特性に変化はないのか?
一つのセンサを製作したら、10回以上は試験を実施する。
どんどん実験センサは作っていくので、試験できる設備がすぐに足りなくなってしまうため、現状3か所の試験設備を上手くやり繰り。
データ取りが趣味であるが、ほどほどにしている。 -
随所に経験とノウハウが蓄積されている
究極のセンサを作るには、正確な測定が必須。
そのため、計測機器の国家規格を満たした標準ガスで測定することで、実験センサの正確な性能を判断できる。
勿論、ガスだけしっかりしていれば良い訳でなく、何らかの影響を受けずにセンサを測定する槽まで送らなければならないため、配管やガスの切り替え装置、および測定するためのアンプにも十数年の経験とノウハウが詰め込まれている。
過去の様々な失敗から、現在は安心してモノづくりと測定に専念できている。
その日に発見したこと、悩んでいること、同じ部署の仲間とはよく議論する。
集まったり、作業しながらであったり、考えていることは気軽に話せる仲間がいる。
人それぞれ得意不得意があり、それを補い合える仲間が重要である。
困難に直面している仲間を励まし、時には励まされることが多々。
究極のセンサ、大きな夢を持って、決して逃げず、最後まであきらめず、日々一生懸命仕事に取り組んでいる。